十津川に注ぐ小支谷 42 月谷
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《注意 2011年紀伊半島豪雨による土砂災害で道が崩壊したり谷の渓相が大きく変化している場合があります》
月谷と十津川本流との出合 有名な谷瀬の吊り橋を過ぎて南下すると、対岸に開けた谷が見える。ここも本流を横断徒渉することになるが、前述の長殿谷同様に、徒渉のタイミングが必要だ。本流はチャラ瀬で浅く見えているがいつでも簡単に渡れるというものではない。 月谷もいわゆる隠れ谷のひとつ。道路から見えない、または、そこへ行く道がない。月谷は、この両方の特徴をもっている。十津川本流の右岸にそそぐこじんまりとした谷で、奥まで傾斜のほとんどない初心者向きの谷だが、困ったことに道がない。写真の上流(右手)には有名な谷瀬の吊り橋があり、十津川本流左岸はキャンプ場になっている。月谷に入るには本流を渡渉する。だから水量が多いときは不可。雨の日は絶対に入ってはいけない。増水すると戻ってこれなくなる。出合の少し下流から入ると膝上ぐらいで渡れる場所がある。魚は小型だがそこそこ釣れる。本流との出合付近は伏流で砂利地。しばらく歩くと渓流の様相になる。夏の暑い日だったが、僕はこの谷でカラスヘビがいたるところにいるのを見て、とくにヘビが苦手なわけでもない僕なのだが、このときばかりは、ぞっとした思いがある。三之公の支流・黒石谷で、大ミミズの大群を見たこともあったが、いずれにしても大群というのは気味が悪い。そのあと行くのをためらっているが、月谷という美しい名称に似合わない景色だった。ちなみに、十津川本流の左岸の谷は石灰岩系の白い河床。右岸は砂岩系の灰色河床の谷で、月谷もねずみ色っぽい地味な色の谷だ。 この谷も隠れ谷と言ってよい。二津野ダム湖の左岸に注ぐ小谷だ。二津野ダムを過ぎてすぐ国道を左方に180度折れ曲がり、しばらく下るとダムの堰堤に出る。堰堤の上を通過して対岸に渡り、しばらく行くと葛谷のバックウオーター付近に出る。優しそうな気持ちの良い渓相が迎えてくれる。道はここで谷をまたいで山の集落に向かう。平谷小学校のスクールバスはこの先の集落まで入って子供を迎えている。 |