61 十津川に注ぐ小支谷  


《注意 2011年紀伊半島豪雨による土砂災害で道が崩壊したり谷の渓相が大きく変化している場合があります》

宮谷川

 

宮谷川開口部 五條市役所大塔支所(旧大塔村役場)の脇を流れる

 


  小さな谷だが、林道がすぐ横にあり、ほとんど上流まで谷に沿っているので、その日の釣行2番手の谷としてよく通う。天候と時期によっては小型〜中型のアマゴがぽんぽんと抜けることがある。竿は短竿で十分。頭上に被る木の枝を避けてポイントに糸を垂れるにはそれなりの技術が必要。

  途中に水場があり、岩の隙間からこんこんと湧水が噴出している。癖のないストレートな水でコーヒーなどにはバッチリ。谷水が切れた辺りから林道は空に昇る勢いで標高をかせぐ。ヘリポートのある尾根に着く。高野辻という。ここから大峰山脈の主要な山々が一望できる。見事なパノラマ展望だ。晩秋の晴れた日、それも初冠雪の頃がとくに素晴らしい。林道は峠から再びころげ落ちるように下る。下ったところが舟ノ川上流域・篠原集落。この項は舟ノ川を参照して欲しい。


高野辻ヘリポートは大峰山脈を一望できるビューポイント



河津谷   高尾谷   大黒谷   山崎谷   広尾谷



河津谷   高尾谷

  河津谷と高尾谷は十津川左岸に距離にして数百メートルほど離れて在るが、どちらの谷も出口は完全な伏流で土砂が堆積してそれが川であることすら分からない。写真は高尾谷の入り口だが、土砂が堆積した「道」がある。2011年豪雨でその状況はさらにひどいものになった。普通は朝イチで入る谷ではない。河津谷同様、釣れた覚えがなく再度チャレンジしようとも思わないが、こんな谷にも天然のアマゴは必ず生息しているに違いない。それを信じて入渓するロマンも渓流釣りの楽しみ方のひとつなのだろう。



大黒谷 《 48 滝川の項でも記述あり 》

  風屋ダム湖をまたいで対岸に開く長大な支流が神納川だ。神納川のすぐ下流に大黒谷がある。開口部は大きく開けており、段差のある渓相がみられる。小谷の割に大きな雰囲気のある谷だ。大きな落差のある下流部を避けて中ほどから攻める谷だ。入渓はしたが竿を出すことなく引き上げた。苦労の割にむくわれない感じがしたからだが、これはその時の体調にも大きく左右される。気力の無い時には魚は釣れない。そればかりか思わぬ怪我をすることもある。開口部が広く、その割に水量が少ない谷は、基本的に荒れ谷で、鉄砲水が出やすい。こういう谷での雨中釣行には、とくに気を付けた方がよい。


山崎谷

  

  風屋ダムを過ぎてさらに南下すると野尻の岩村橋から右手に小谷が見える。この谷も気にはなるがいつも通過してしまう。すぐ先が段差のある滝になり、その奥は木々で覆われたトンネルのような谷だ。水量はそこそこあるが、短い流程の谷であり藪漕ぎと岩登りを強いられそうだ。



広尾谷

  山崎谷からすぐ南にある水量のある谷。小谷トンネルの入り口直前にあり、車を止めるタイミングをいつも失ってしまう。最初から意識をして目的の谷を目指すようでないと、こういう小谷にチャレンジする機会に恵まれることはない。流程もそこそこあり、水量も豊富で、瀬、淵、段差が繰り返し、渓流釣りの面白さを味わえる。小ぶりだが魚影も濃い。谷の入り口辺りはどこかの土建業者の資材置き場のようになっていて大型重機が並んでいる。岸部にコンクリートブロックを積み土砂を埋めて空き地造成をしているのが異様で入渓をためらわせる。造成した土地の入り口には鉄柵の門があり、「入場を禁ず。監視カメラ設置」とある。河川の私物化は法でも許可されないはずだが、いやな気分になる。無用のトラブルは避けたいので少し離れたところに駐車スペースを確保して入渓することをお勧めする。