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十津川の注ぐ小支谷  50 親之谷 


《注意 2011年紀伊半島豪雨による土砂災害で道が崩壊したり谷の渓相が大きく変化している場合があります》

親之谷を遡上すると再び林道と出会う

源流部に水道水源がある


  旧国道は、この谷をまたいで道が走っていた。いまは大きく蛇行する十津川を直角に切って山崎トンネル、山崎橋、池穴トンネル、池穴大橋、小井トンネル、小井橋と連続して十津川を縦断して道が貫き、旧国道は完全に閉ざされてしまっている。そのために親之谷は完璧な隠れ谷になってしまった。しかも、旧道付近の山肌は、岩盤がもろく道路に岩がこぼれ落ちるため、いまは(2006現在)谷の入り口まで車の進入はできない。
  この谷は不思議な谷で、十津川出合から急激にせり上がる。一見、滝の連続だ。もともと谷に沿って山道があったが、ところどころ崩れ落ちてしまっている。小さな滝壺に竿を出し続けるという釣り方をしながら、ひたすら谷を見上げて登る。しかし、興味をそそる壺が連続するので、知らず知らず上へ上へとはい上がってしまうのだ。と、あるとき、ぽかっと前が広がって車道が現れる。初めての釣行時は、車道が目の前に現れて驚いた。そこからは谷は一挙に平坦な小川のような優しい顔になる。小さな谷だが、けっこう奥は深い。割と好きな谷で、解禁から入ることもあった。でも現在は、村の浄水場ができて、これより上流は禁漁区になってしまった。よく釣れた谷だったが仕方がない。これを読んで行こうと思わないように。谷の水は村人の命の水だ。村人のためのルールは守らな#ッればならない。きっと、心ない釣り人が毒流しなどの悪さをしたのかもしれない。このようにして立ち入り禁止の自然域が増えるのは残念だが、これも時代を映しているのだろう。