59 十津川支流 上湯川

十津川は、和歌山県との県境で二津野ダムで仕切られている。ダム湖右岸の平谷地区は十津川温泉郷として有名だ。このダム湖右岸には、「西川」と「上湯川」という2つの大支流と「山手川」がそそぐ。西川と上湯川はダム湖近くで合流する。いずれも上流から大量の土砂を放出するため、下流部は砂利に覆われており、その景観は延々と数キロ上流まで遡ぼる。写真手前が西川。奥が上湯川。

上湯川沿いには、温泉が湧き出る。下流部の下湯、その少し上流部に上湯があり、川沿いの湯屋は誰でも自由に入って楽しむことができる。残念なことに2011年紀伊半島豪雨で湯屋は土砂に埋もれて、以後使えない状態が続いている。

上湯の露店風呂も土砂に埋もれたまま。けっこう熱い湯が沸いているので自前で掘る勇気があればりっぱな温泉になる。

上湯川本流は、上流部の追西川あたりまでは、平坦なやさしい渓相で川を通して歩くことが出来る。次々と右岸左岸にそそぐ支谷に出会が、それらの多くは流程が短く藪漕ぎを強いられる。基本は本流狙いでの釣行に適した河川である。

下湯には対岸に渡る手段として古くから使われてきた「野猿」という手漕ぎのロープウエーがある。シーズンには順番を待つ観光客が列をなすが、対岸に渡り戻る作業はけっこう重労働だ。向こう岸に果無谷が大きな口を開いているが、野猿を伝い、壊れた道を迂回して谷に入るだけの勇気はなかなか持てない。