29 十津川支流 中原川

五條市大塔町(旧大塔村)の猿谷ダム湖にそそぐ中原川は、源流域を野迫川村に発する。猿谷ダムに架かる鉄橋を渡ると中原川を右手に県道が走る。道はどんどん谷との距離を開いて高度を上げ、谷は樹木に遮られて見えなくなる。数か所、谷に降りる道があるが、一汗かくことを承知で降りる覚悟がいる。上流に集落(今井)があるため、生活廃品が流れていたりしてお世辞にもきれいな川とはいいがたい。上流から離されて居附いたのだろうか、コイなどが淵に泳いでいる。そんななかでアマゴも同棲している不思議感がある。谷は急激に高度をあげて県道に接近する。川通しはきわめて困難で、またリスクを賭して通すだけの魅力に欠ける。今井の集落に出ると渓相は一変して平坦で穏やかな小川の様相になる。生活感があり渓流の魅力に欠けるがアマゴは生息しており、水が出た時など思わぬ釣果におどろくことがある。

今井の集落。 野迫川村は高地に開かれた集落を抱えている。そのため、村内を流れる河川の源流域の多くは、集落と同居・共生し、一部は生活排水路化している。