21 天ノ川本流 天ノ川支流(22〜28) 


26 天ノ川支谷 弥山川

天ノ川上流左岸に開く弥山川は、名の通り近畿の最高峰、八剣山・弥山岳を源流とする谷だ。この谷は禁漁区となっており、禁漁区という甘い響きに心を惑わさない釣り人は・・・いない。つまり、釣り歩いてみたいと思う谷である。弥山川は、ヤマトイワナの居る谷としても有名で、禁漁区ならなおさら行ってみたい見てみたいと思うのが人の気持ちというものだ。ということで、知ってか知らずか(知らなかったことにしておこう)僕の友人が、谷途中での泊を覚悟でこの谷にとりついたことがある。大雨に見舞われて、滑落し、大けがを負いながら、それでも竿を出したという強者であるが、大イワナをぽんぽん釣り上げた・・・らしい。話に聞くと、源流部の険しさは並でないらしい。大峰連山を源流とする谷に共通するのは、源流域の谷の険しさ・激しさである。天に向かって昇るような錯覚を覚えることもある。大岩を乗り越えて竿を出し、すぐに竿を畳んでまた大岩に取り憑きということをひたすら繰り返す。体力と根性がなければ行くべきではない。僕も若い頃はそんな無茶もしたが、すでにそんな釣りは過去の思い出になってしまった。好奇心が体力よりも大きい年齢をいつの間にか通り過ぎてしまった。帰りの苦しさを先に思うようになったとき、渓流釣りの楽しさはアマゴの数だけではないということを知るのかもしれない。